雨の季節(6/21)
雨の季節
わたしにはこの時期
ある理由で避けてきた色がひとつある
雨を連想させる ”ブルー” だ
朝から雨が降っている日は
足元を気にしないといけないとか
極力濡れずに行くには、どのルートを通るのが最適かと思考を巡らせることなど
イレギュラーに起こる、様々な要因が重なることで
気分を少しだけ憂鬱にさせるからだ
そんなことを考えるだけで
恵みの雨にさえ感謝の気持ちを忘れてしまいがちになる
そう
今までのわたしはこんな風だった
だけど
イロに罪はないと思い直す機会がある日訪れる
クリスチャンワイナンツのブルーのカットソーとの出会いだ
海外の空気がからだを包んでいくような、目の覚める明るいブルー
そのまま気持ちまでさらわれていきそうなカットソーから伝わってくるのは
このイロが
日本の中にあるブルーとは一味違うということ
箱の中が結露で濡れているような
まるで日本の気候の真逆にあるイロ
そして
太陽を目の奥に強烈に感じるイロだということ
別注「ティータイムベスト」BEIGE×OLIVE(soutiencollar)
トップスPOWDER BLUE(christian wijnants)
別注「ギャルソンチノ巻きスカート」(soutiencollar)
バッグ カーフ・ハンドバッグ S(かっちりバッグミニ/カーフケリーミニ) GREY(ebagos)
ネックレス 21-2ndT-1(Stink Syndicate)
バレエシューズ SILVERパイピング薄い色(porselli)
ソックス antipast-AM-760 IVORY(ANTIPAST)
ありきたりな『サシイロ』に飽き飽きしていて
気分を一変したい私たちのこころに
そっと差し出されたワイナンツのカットソーは
鬱々とした季節の中から
軽々と引っ張り上げてくれたような気がした
そのカットソーを眺めているとき
一つの光景を思い出した
雨の中、土の匂いが立ち込める通学路にある一本道を
長靴を履いて歩く小学生のころのわたしだ
その頃のわたしは雨が嫌いではなかった
山が濃い霧で覆われてけむりを出しているのを眺めながら
カエルの合唱に耳を傾ける
それに合わせてハミングまでしていたかもしれない
あの頃に思いをはせることができたということは
雨がいい思い出として、自分の胸の中にあることに少し驚いてもいる
あの日の帰り道の光景で見聞きしたイロや音の数々は
こどものわたしの胸にまっすぐに届いたもの
その純粋な気持ちの存在に気づくことができたとき
初めて雨の日にこそ、この綺麗なイロを着たいと思えることができた
20周年 記念本 (ebagos)
雨のわずらわしさから生まれるオシャレの可能性は
”この季節の間だけの ” 楽しみ” である”
そんな風に背中を揺さぶられているような気がして
わたしはカットソーに袖を通した
柔らかくしなやかな生地が
頑なだったこころの部分をほどいてゆく
部屋のすみずみまでいきわたった
外をしたたる雨の音
まるであの日
傘の下で聞いた雨の音のように響いている
かすかな土の匂いの記憶を辿っていくなかで
雨の音がまた少し大きくなったような気がして
記憶を辿ることを一旦切り上げたわたしは
やっと支度を再開することができたのだった
ステンカラー商品は全工程国内生産です。
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