幸せの黄色いたまご
家族4人
「あ~~ぁ。たまご、失敗したから、コレお母さんのにして」
母がそう言いながら
オムライスのたまごを4皿分包む
「今夜はオムライス」の日は
母のたくましい腕に握られたフライパンの上の、たまごの結末を
お皿を手に持ち、母の隣で見守った
真ん中にナイフを入れて、ふわふわっにとろけていくレストランのオムライスより
しっかり薄めのたまごに包まれた ”オムライス” の方がわたしは今でも好きだ
たまごがキレギレ、中のケチャップライスがのぞいている
そんな 失敗オムライス は必ず、母の席に運ばれた
こどものわたしは、やっぱり綺麗な
黄色いオムライスがよくて
「一番綺麗なのお母さん食べなよ」とは、言ってあげられなかった
”JUNKO”と英語で名前を書いてもらう
オムライスの上のケッチャプは
特別で宝物で
オムライスの日は、とても幸せな気持ちに包まれた
焦げずに焼けたさんま
まあるく焼けたパンケーキ
ちょっとだけ多いおうどん
今は、それらはわたしから
娘の席に運ばれる
受け取った幸せは
誰かを幸せにするため
きっと、巡り続けている
よしむら
= = = = = = = = = = = = = = =
= = = = = = = = = = = = = = =
= = = = = = = = = = = = = = =
= = = = = = = = = = = = = = =